世界のウイスキー

およそ700種類に及ぶ世界中から集められたウイスキーのテイスティングノートや情報はこちらからご覧いただけます。現在は多くのテイスティングコメントを皆様にお届けするために、バッチ(製造年)違いである同一商品のテイスティングも掲載しておりますので、現在発売されているウイスキーの評価とは限りません。予めご了承ください。

テイスティング

Whisky Magazine ではウイスキー専門家、作家、愛飲家によるテイスティングを毎号開催し、その情報を皆さんにお届けしています。

推奨ボトル

テイスターが判定したポイントの規定によってSilver Recommended(銀賞)もしくは Gold Editors Choice(金賞)が毎号決定します。


アラン スマグラーシリーズ Vol.1 イリシット・スティルズ    56.4%

  • 蒸溜所名: アラン蒸溜所
  • 地域: アイランズ
  • ブランド: アラン蒸溜所
  • 価格帯: 71-120
  • 入手可能場所: 全世界
  • 掲載号:132号

クリス・グッドラムSCORE8.3

香り
分厚いコーヒーの香り、モルト、かすかなオレンジの甘煮。熟れたフルーツを焼いたような匂い、大麦、軽いスパイス香などが現れ、ややツンとくるハーブの効いたピート香や海岸のような匂いもある。加水するとアロマが心地よくジューシーに変化し、オレンジのようなフルーツ香、大麦、バニラのオーク香が増す。それでも依然としてモルト香はかなり強い。
かなりタンニンがあり、コーヒーのようなモルト風味、焼いたフルーツ、土のようなスパイスの感触もある。わずかにワインのような風味。潮気に、土のような甘いピート風味の心地よい組み合わせ。軽い木香があり、ややざらついたコーヒー風味が舌の中央で感じられるが、軽やかなハチミツとトフィーの風味がそれを迎え打つ。加水すると甘味が増し、さらに強く大麦とクリーミーなオークの風味が現れる。
フィニッシュ
心地よい長さ。ストレートで飲むとややマスクを被った感じで、ハーブ香とスパイシーな風味が持続する。加水するとフルーツ風味が増す。
コメント
大柄な、モルト風味の強いウイスキー。特徴をつかむには多少の加水が必要。

ジョエル・ハリスンSCORE9.3

香り
これぞウイスキーの香り。まずシロップたっぷりのパンケーキが底にある。その上には溶けかけたダークチョコレートの層があり、これを焚き火の燃えさしの脇に置く。その燃えさしでは、オークの煙が火床から立ち上がってる。見事なまでに重層的で、バランスがよく複雑。
味も期待に応えてくれる。一瞬の間があって例のスモーク風味が現れ、そのスモークはレース編みのジャケットのように繊細なオークのスパイスを纏っている。熟れた熱帯のフルーツが現れ、マンゴーやパッションフルーツの風味に光が当たり、そしてわずかなブラックチェリーの味を感じた後で再びスモークが漂ってくる。
フィニッシュ
スモーク、かすかなナツメグ、最後にバニラビーンズを感じるフィニッシュ。
コメント
熟成、スモーク、スパイス、フルーツのバランスが適切な、素晴らしいウイスキー。樽の中で長い時間を過ごしたのでなければ、魔法使いの仕業だろうか。あるいはその両方かもしれない。私にも手の届くような価格設定なら嬉しいが、おそらくそうではないだろう。